昨日テレビで2017年公開の映画『IT“それ”が見えたら、終わり。』が放映されていたのでチラッと見ましたけど、残念なことにけっこうカットされていました。
11月から続編の『IT /THE END』が劇場公開されていますから、映画のコマーシャル的な放映ですね。
テレビ放映で興味を持って映画館で続編を観ようと思った方は、ノーカットのものをレンタルなどで見てから続編を見た方がいいかもしれません。
・90年版との違いは?
このスティーブン・キング原作の「IT」には1990年にアメリカのテレビシリーズとして放送された作品もあるので、映画の情報を得ようとネットで調べて混乱した人もいるのではないでしょうか。
映画の新しい『IT』と90年版のテレビ作品の『IT』、違いはあるのかどうなのか。
ネットで評判を見てみると、若い人を中心に映画版の方が評価がやや高そう。
CGなど時代的な部分での技術の都合や、映画とテレビでの予算の違いがあるので、単純に映画版の方が映像がきれいですし今っぽい。
でも個人的には序盤と中盤に関しての出来は90年版の方がよくできていると感じますし好みでした。
まず大きく違うのは話の構成です。
『IT』は、主人公たちが子ども時代の話と大人になってからの話があるのですが、映画版だと第1章が子ども編、第2章が大人編と2つの映画に分けたのに対して、90年版は大人になった主人公たちが過去を振り返りつつ物語が進行します。つまり、大人編と子ども編が交互に当時に進んでいく構成です。これはひょっとすると小説だとわかりにくい構成かもしれませんが、映像作品としてはこちらの方がいいような気がしました。
子どもを連れ去る名物ピエロであるペニーワイズのキャラクターにも違いがありました。
映画版のペニーワイズは90年版よりもクールでスタイリッシュ。あからさまに猟奇的な雰囲気もあります。
映画版のペニーワイズはとても人気があるみたいですけど、これも個人的には90年版の方が好きです。歳のせいですかね。あからさまに不気味なピエロより、普通のピエロが子どもを連れ去る方が僕はこわいと感じるんです。
あと、90年版のペニーワイズはイラっとするというか腹が立つ。映画版のは不気味さの中に格好良さもあるでしょ。今っぽいんで、キャラクターにファンがつくというのはわかるんですけど、物語の中のキャラクターとしては90年版の方がいいような気がするんですけど、どうでしょうか。
残虐なグロテスクな表現は90年版は控えめ。というか、ほとんどなかったような。
現代ではちゃんとわかりやすく見せる描写の方が怖いと感じる人が多いようで、この点で映画版の方を評価する人が多いみたいです。
43歳の僕は、子供の頃にB級スプラッターホラー映画をいやというほど見た世代なので、グロテスクな描写にまったく抵抗がなく、若い頃は人が殺されるようなシーンを漫画で描くときには、グロテスク部分も〝はっきりと見せる〟描写で描いていました。
当時お世話になっていた編集長がそれに難色を示し、〝見せない怖さ〟もあるということを教えてくれたのですが、若い頃の僕にはそれが理解できず、「昔の人は残虐な場面を露骨に見せることに抵抗があるんだな」と、世代的なセンスの違いとして捉えるだけでした。
今の僕には理解できます。
ホラーに限らず、見る人のイマジネーションが入り込む余地を残すのは、作品づくりにおいて必須です。
ブラインドを用意することで、見えない部分を見る人が何倍も膨らましてくれる可能性があります。
星の王子様でいうところの〝ヒツジの箱〟です。
血しぶきを見せれば、傷口を見せれば、びっくりする音を入れれば怖いというのは、子供でもわかる安易な表現です。
そういった意味でも90年版の方が僕は好きです。
『IT』は怖がらせるのが第一の単なるホラーとは違い、「恐怖に打ち勝つ」「トラウマを克服する」というテーマも重要で、ノスタルジックな雰囲気も魅力の一つなのですが、映画版は露骨なホラー表現が強いので、それ以外の部分がバランスとして90年版と比較すると損なわれているような感じがします。全部個人的な感想ですけどね🎈
じゃあ僕が全部90年版の方がよかったと感じたのかというと、そうでもありません。
僕は先ほど、序盤中盤に関しては個人的には90年版の方が出来がいいと感じた書きました。
90年版はラストが非常によくないです。
序盤中盤の出来がいいだけに、それが際立つのが残念です。
CGなどの技術的な面もあると思いますが、テレビの尺の問題でしょうか、とても雑な印象を受けました。
ですので、ひとつの作品の完成度としては総合的に見ると、どちらがいいとは言いにくい・・・。
ラストって大事ですよね。
(^_^;)
90年版は序盤中盤の出来が良いですが、ラストの出来の悪さがひどすぎて、逆に見といた方がいいとおすすめしておきます!
見比べるという楽しみ方もできると思うので、片方しか見ていないという方は、ぜひ違う方の『IT』もご覧になってみてはどうでしょうか。
90年版↓
2017年版↓
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